空想科学祭2010 感想・レビュー掲示板

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[7] 「消えゆく明日の片隅で」谷津矢車 Name:空想科学祭実行委員会 Date:2010/09/01(水) 05:12 [ 返信 ]
【題名】消えゆく明日の片隅で
【あらすじ】
 熱帯夜が二十日も続く夏休みのある暑い日、道を歩いていた「晴登」は見知らぬ男に声を掛けられる。なぜか馴れ馴れしく「晴登」に話しかけるその男は、突然こんなことを言い出した。
「世界が終わる――」
 その言葉を到底信じることが出来なかった「晴登」。だが、信じるようが信じまいが、密やかな足音と共に少しずつ何かが変容していく。そして、「晴登」を包んでいたはずの日常は、少しずつ崩れ去っていくのだった。
 男の言う「世界の終わり」とは? そして「世界の終わり」に晴登は何を見るのだろうか……。
【名前】谷津矢車
【区分】中編(完結済)
【URL】http://ncode.syosetu.com/n5210n/



[79] 綺麗なBAD END Name:栖坂月 Date:2010/09/16(木) 18:51
このSF観は素直に興味が湧きました。仮説を組み上げ、それを表現するという一連の流れは見事と言って差し支えないと思います。また、主人公にとって気付けなかった異変を含め、エピソードの見せ方も綺麗でした。あくまで一個人、高校生の日常を通しての異変が、実に丁寧に描かれていたという印象です。
一方で、この救いのなさはどこか、作者様が得意としているホラーに通じるものが感じられます。確かに絶望的な状況でしたし、安易な奇跡は私も望むところではありません。でも事実に気付けていた以上、何かして欲しかった(会えただけでも十分という意見もあろうとは思いますが)という願望が奥底にあります。ただ、翻弄されたという客観的事実に基づけば、これほど明確な因果を、それも綺麗な脚色を加えて表現できているというのは素晴らしいことと思います。作品として高品質なのは間違いありません。
あくまで個人的にですが、父親サイドでもう一歩踏み込んだ、安易ではないハッピーエンドも見てみたい、そんな風に思わされました。
実に興味深い作品でした。もちろん、とても面白かったです。


[87] RE:「消えゆく明日の片隅で」谷津矢車 Name:砂漠の砂 MAIL HOME Date:2010/09/20(月) 12:22
大変面白く読ませていただきました。
若干ネタバレになってしまいますので、作品を読む前にわたしの感想を読まない方がいいかもしれません。すいません……。
本来、ゲシュタルト崩壊とは難しい概念だと思いますが、それも平易な形で、自然に記述されており、とまどうところがありませんでした。
世界の終末、というと、恐ろしい規模の火山が噴火したり、巨大隕石が衝突したり……、あるいはまた、神が洪水を起こしたり、最後の審判の時がやってきたり、などといった常識的なものしか思い浮かびません。
しかし、本当の人類社会の・地球の終わりは、この作品で描かれたように、世界が解体することによってやってくるのかもしれませんね。そんな想像をしてしまうほどに、この作品にはリアリティがありました。
とても面白かったです。ありがとうございました。


[96] RE:「消えゆく明日の片隅で」谷津矢車 Name:84g Date:2010/09/26(日) 13:51
当初は辛口掲示板にある完結作品を下から読んでいたのですが、これはこっちですわ。

SFとしてゲシュタルト崩壊を題材に選んだことがまず素晴らしい。
SFではテーマ選定の時点でイロモノを選ばないと独創的とはならなかったりする傾向がありますが、
ゲシュタルト崩壊はSFが好きな人間ならば割と珍しくもなく一般的に知っているキーワード。
誰も聞いたことのないキーワードで勝負するのは簡単ですが、誰もが知っているキーワードでこのクオリティ、ハラショーッ!

序盤から漂うリアリティの香り、ラドン194が放つSF独特の胡散臭さ、
『ちちおや』の辺りでのキャラクター性、最後の瞬間に崩壊のBGMまで聞こえてくるような感覚。
作品世界で同じような現象が広がっているであるだろうと想像を掻き立てる描写能力。

凡作では『どうしてそうなったか?』を説明するときに冗長な説明が有ったりしますが、
『作中でもよくわからないと明言する』という古典的必殺技も個人的に好き。
これでラドン194の性質を逐一説明すると『じゃあ、アレをすれば解決じゃね?』という穴が発生したりしますが、あえて説明しない。
あえて説明しないからツッコめないという鉄壁、わけのわからない物が序盤からキーワードとして登場するのもイイ!

ただ、バッドエンドを明確化するなら、もっと詳しい理論は有ってもいいかもしれません。
これだと理由がわからないから次の瞬間にも解決しているかもしれない、という希望的観測も成り立つんですよね。
そのむず痒さも個人的には魅力なんですが、個人的には華麗に絶望に叩き落すようなパターンも期待してましたね。

[187] RE:「消えゆく明日の片隅で」谷津矢車 Name:石神航 Date:2010/10/12(火) 01:20
 クオリティの高さに驚愕した。去年から練っていたというだけあって、完成度は流石。
 幼なじみの女子とうだつの上がらない男子、ああ、よくあるパターンかと最初こそ思ったが、幼なじみもので本当に良かった。
 文字のゲシュタルト崩壊に悩まされた、学生時代の漢字練習を思い出し、唸りながら読む。あれをこのようにしてしまうとは、力量の高さが窺える。
 とにかく読みやすい文章と丁寧な描写には舌を巻く。面白い。よかった。
 難しい用語解説を上手くばらまいてくれたことで、十分過ぎるほど状況が飲み込める。恐怖心で背筋が凍り、この先、どんな崩壊が待ち構えているのだろうと、とにかく先へ先へ物語を追いたくなった。これは読者としてはとても嬉しいところ。世界観にどっぷり浸かり、その他全てを遮断したくなるとはこういう感覚だ。
 あまり書きすぎるとネタバレになるので、とにかく感動だけ伝えたい。キャラクターがいい。ネタもいい。展開も――どう纏めるのだろうと思いもしたが、やはりこの結末しかあり得ないのだ。納得の一作である。


[196] 感想 Name:美鈴 Date:2010/10/15(金) 03:52
 この作者も「小説家になろう」では知られた巧者の一人と呼べるだろう。企画にもよく顔を出し、平均以上を叩き出す安定感がある。この作品も予想に違わぬ文章と構成のレベル。まずは流石と言えよう。
 ゲシュタルト崩壊や希ガスのラドンなど、どこか懐かしい感じがするのは読み手が古いせいだろうか?と思ったりしたが、読み終わって納得する。そう、この作品自体が懐かしい雰囲気を漂わせているのだ。
 謎の男との邂逅、幼なじみの男女、化学の教師、思春期の日常風景。これは70年代、日本SF界が輝いていた頃の作品が醸し出したあの雰囲気に似ている。小松、筒井、星。新井、栗本、光瀬。平井に両田中などなど黄金期のあの雰囲気である。
 終末ものとしては視点をハルトの周囲に留めたため、集団パニックものとしては成立しないので物足りなさを感じる向きもあろう。逆に小世界に留めた故に、題名が示すラストシーンの言い知れぬもの哀しさが際立ったとも言える。これには作者の苦労の跡が窺えて納得だった。


[242] RE:「消えゆく明日の片隅で」谷津矢車 Name:ロメル HOME Date:2010/10/20(水) 09:42
世界系の作品として、違和感無く読むことができました。
それだけに、しんみりとして切ないです。
世界が終わる理由を必要以上に突き詰めていないところには、好感が持てます。


[249] RE:「消えゆく明日の片隅で」谷津矢車 Name:じょーもん Date:2010/10/20(水) 11:26
 日常が壊れていく。その容赦のない気持ち悪さが、淡々と描かれる。それは、読んでいるものを落ち着かなくさせる。

 冒頭の何気ない風景に割り込んできた怪しい男の正体が分かる終盤において、その事実、あるいは物語の必然が、眼前にひらけすべて俯瞰できるという場所にたたせてくれる。予定調和的なと悪口をいう向きもあろうが、私は堪能させていただいた。

 巧者の手にかかると、SFという舞台すら、それを決して有り得ない世界ではなく、日常の横にぽんと何気なく置いてしまうのですね。惜しみない拍手をおくりたいと思った一作です。

[258] 怖すぎです〜(泣) Name:招夏 Date:2010/10/21(木) 17:47
こんにちは、拝読させていただきました。

「ラドン」と「ゲシュタルト崩壊」、前者は温泉〜ってイメージで、後者は「トリビア〜」で聞いたことがあったので、ふむふむ、それがどうしたんだろう…などと呑気に読み進めていたらばっ!怖すぎです〜。世界が崩壊するなんて!!。崩壊と言っても、物理的でないところが益々怖い。痴呆よりも怖い。SFでここまで恐怖を感じたのは久々な気がします。ミステリータッチのSFですね。

最後に大事な人に会うという記憶が残ったと言うのにも泣けました。すばらしい。面白かったです。拍手!

[275] RE:「消えゆく明日の片隅で」谷津矢車 Name:尚文産商堂 Date:2010/10/23(土) 17:31
その物体を知覚できれば、"思い出すこと"ができるが、知覚ができなければ、"思い出せない"という単純な二分論ながら、そのことをまとめるための理論や分子については、かなりのまとまり方をしていてすごい作品に仕上がっていると思います。

ゲシュタルト崩壊については、人が知覚している物事を知覚できなくなったという風に、自分は習っていて、そのことをずっと思いながら読ませていただきました。

[302] RE:「消えゆく明日の片隅で」谷津矢車 Name:鳥野 新 Date:2010/10/26(火) 06:33
 日常がだんだんと歪んでいくその禍々しい徴候がひたひたとした足音とともにやってくるような不気味な印象と、少年少女の青春真っ只中のまぶしいような日々とが交錯してえもいわれぬ雰囲気を作り上げていました。
 ラドンの説明も説得力があり(というか、自分的には真偽のほどは良く分からないのですが、なんとなく納得)ゲシュタルト崩壊というテーマも興味深く、ひきつけられる魅力のある作品でした。それにしても美早紀ちゃんが可愛かったです……。


[315] RE:「消えゆく明日の片隅で」谷津矢車 Name:虹鮫連牙 Date:2010/10/27(水) 01:21
 作品を読ませていただきましたので、感想を書かせていただきます。

 物凄い怖かったです。
 読み進めていくほどに、作中の世界が本当に崩壊していくさまを見せ付けられて鳥肌が立ちました。
 【1】〜【4】までを読んだ時点では、学生コンビの恋愛模様を交えたしんみり系の物語なのかと思っていました。謎の男の正体にも見当が付かず、存在自体忘れてしまいそうになりながら、気持ちは学生コンビの行く末ばかりに気を取られてしまっていたのに……。
 それなのに【5】の展開で一気に恐怖しました。そしてそこからはもう終始震えっぱなしです。本当に。
 謎の男の正体が分かった辺りで怖さは最高潮でしたね。恐怖に震えながらも、この仕掛けには本当に驚かされました。まさかの展開だよ〜><
 ラストも石神さんが仰ってる通り、僕もこのラストしかないように思います。
 読者も納得させる救いようの無さ。その中での最良だったように思います。
 いやー、未読の人には是非読んでもらいたいという意味で、あれこれの場面について詳しく語りたくないです。

 なんか、文章力云々なんてのは正直僕には何も言えません。本当に作品に飲み込まれてしまいました。

 本当に楽しく、ってか怖く読ませていただきました。
 面白かったです。
 素敵な作品ありがとうございました。


[326] 辛口と悩みつつこっちへ Name:饅頭は空を飛ぶ Date:2010/10/30(土) 14:56
こんにちは、拝読しましたので感想です。失礼致します。
とはいえ、一番先の感想人の方と全く同じといっていい読了ではありました。整理し切られたようなすっきりとした綺麗なバッドエンド。個人のことですが、何となく最初からストーリーの筋が見えてしまい最後までそうだったという「裏切ってほしかった」感があったのが悔しいな、辛口にいこうかなと悩む所であったのですが、いやそれ別にいいから(苦笑)ということで、止めてこちらに参りました。この辺はハイハイ、と適当に素通りして下さい(ふうぅ…)。
信号機。読みながら、あの「通りゃんせ」は何故にあんなに暗いのだろうと(というよりそもそも何故それが使われているのだろう?と)日々疑問に感じていたことを思い出したりしていました。また、人間部分が非常によく丁寧に書けているのだなあと感心しながら(2人の間に入る先生がまたいいなあと楽しみながら笑)。自然にスッと、音もなく「異常」が日常に入ってくるのが怖さ然り、ホラー然りだなとも思いつつ。この辺りSF部分には側面的ですが、ゲシュタルト崩壊含めてみましても大変よく練られていて充分に楽しませて頂きました。しかし父親の存在、先に申しました良い意味での裏切ってほしかった感。これだけ練れ込まれておきながら、ここで終わりなのか! と、『ウンディーネ』以来の悔しさが(失礼)込み上げてきた、と熱く申し上げます。

それでは、好き勝手をダラダラと申しましてすみません(汗)。楽しませて頂きました。企画作、おつかれ様です。
失礼しました。


[363] お付き合い頂きまして、誠にありがとうございます。 Name:谷津矢車 Date:2010/11/04(木) 21:51
皆さまどうもこんにちは。谷津矢車と申します。
作者同様に地味なお話になってしまいました(これ、他の作者様が描けば壮大なパニック小説になりえたはずですが、こじんまりとしたものになったあたり、筆者の人間性がもろに出たような気がしています)「消えゆく明日の片隅で」ですが、楽しんで頂けたようでなによりです。

ここから、この作の裏話でも……と言いたいところなんですが、申し訳ないことに出来ないんですよー。といいますのも、これを書き上げたのは2010年の6月。もうはるか5か月前の事です。昨日の夕ご飯さえ今一つ覚えていない筆者に、五か月前のことを喋らそうなんてこと自体に無理がありますです。

それに、作者として筆者が「消えゆく〜」に出来ることは全て終わってしまいました。作者が(了)の字をつけた段階で、小説はその作者の手から離れます。そして、作者の手を離れた小説は、読者様によっていかようにも解釈されて拡散していくものなのです。
きっと、これをお読みの皆様には、あなた様がイメージした「晴登」や「美早紀」が息づいているに違いありません。いかにその小説の作者といえども、そのイメージを崩すことは出来ません。
筆者の描いた世界が、皆様の心の中で色んなイメージを帯びたまま息づいている。それって、なんだかすごいなあと思うんです。まるでエヴェレットの多世界解釈みたいなお話ですね(笑)。小説を書くっていう作業は、一つ他の宇宙を作っている作業なんですねー。道理で小説を書くのは楽しいわけです(大笑)。

本来でしたら個別に御礼申し上げたいところなのですが、一括でのご返信ということでご寛恕くださいませ。
この度は「消えゆく明日の片隅で」をご覧いただきまして、誠にありがとうございました。

P.S.
なお、「ラドン194」は実在しない元素です(正確には実在出来ない元素です)ので、皆さま温泉地にお越しの際には是非とも溜飲を下げてラドン温泉に入って下さいませませ(一応ラドンは放射性物質で、人体に害があるか否かは研究者でも意見が割れていますので自己責任ということでお願いします)。


  


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